戦後

正史の書き換え問題

『バブル文化論』読了。この本が指摘するように90年代による80年代の書き換え問題というのは確かにあって、僕にとって80年代とはポス・パン/ニュー・ウェーブの時代としてついつい認知してしまっている。それは90年代の当時オルタナと称された音楽を聴いていて…

前半は肯けるが、後半はちょっと

読了。肯けるところ たとえば、最近も話題になっていましたが、中沢新一の『アースダイバー』(講談社)という本がありますが、縄文時代の地図をひもといてみると、その海岸線の突端になっているところに現在では神社が建っていたり、聖地だったところにテレ…

丸山本読了

やっぱり藤田省三はイイ!と思わせる、丸山をめぐる岡本厚との「知識人について」と題された対談からの引用 岡本:なぜ、60年代以降、丸山さんの書くものはだめになったと思われますか。 藤田:それは偉くなったからだよ。やっぱり死物狂いで書かなければいけ…

丸山の続き

鶴見俊輔との対談より引用(備忘録) もしアカデミーに存在理由があるとしたら、徹底して学問の型を習練することですよ。だから、現代の大学で、それをやってないじゃないか、つまりアカデミーじゃないじゃないかということなら、まさに、批判されるべきだ。…

没後10年

を読み始める。巻頭の小熊英二インタビューより まず一点め。これは丸山だったか他の人が書いていたか忘れましたが、「書評の類でいちばんくだらないのは、『これこれの問題が書かれていない』という書評である」という言葉があったと記憶しています。つまり…

やっぱり大きな物語は、このへんで

『一九七二』読了。500ページ弱の大著にもかかわらず、当然1972年のすべてを汲みつくすことは出来ないということを思い知る。つまり、各エピソードが一つの「大きな物語」に収斂される時代の終わりを描いたこの本自体が、一つの旋律に沿って展開しないし、で…

Rock'n'Roll Is Killing My Life(Suicide)

『一九七二』の続き。なぜか『日本幻野祭三里塚1971』の実況盤持ってる。これCD化もされてるんだっけ。

バビロン再訪

「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」 一九七二 (文春文庫)を読み始める。今日は奥崎謙三が出てきたあたりまで。日活ロマンポルノの始まりを記述する冒頭に応答する形で、僕のささやかなピンク映画体験を少し。僕が高校生の頃、ピンク映画四天王が注…

モラスキー読了

結語 結局のところ、ある時代についての国民全体の経験を表象することは、どの作家にもできない。どの作家集団についてであれ(それがいかなるジェンダー、世代、地域、階級、イデオロギーによって定義されようとも)、米占領下の生活に関する真に相対的な視…

パンパン

「占領の記憶/記憶の占領」今日は4章「戦後日本の表象としての売春」を読む。パンパンという語が喚起するイメージとそれに対する「おぞましさ」と「魅惑」の絡み合い、それらの結節点が『日本の貞操』や『女の防波堤』として物質化する。これらの書籍に対す…

モラスキーの続き

とまあ、上で僕は思いっきり自分を女性のほうへ重ね合わしているのだけれど、そうした態度が(その誠実?さにもかかわらず)かえって現にここにいる無数の女性(たち)を抑圧しているんではないか、っていう疑念は結局付きまとっていて、それは「占領の記憶/…

声を奪われる

やっぱり東松照明はいいなあ、あらためてカバーに見惚れつつ、 を読み始める。今日は、イントロダクション「焼跡と金網」、次いで第一章「無人地帯への道」を。第一章では、小島信夫の「アメリカン・スクール」と大城立裕の「カクテル・パーティ」が取りあげ…

憲法選読了

やっと読み終えた。憲法制定権力を考える上で思い起こすのが高校3年の時の学園祭をめぐるゴタゴタだ。僕が通っていた高校では、学園祭は行事としてあらかじめ日程が組まれていたわけではなく、建前として、有志が学園祭をぜひ行いたいという自発的な要求を…

憲法は続くよどこまでも

「『世界』憲法論文選」まだ読んでます。今日は、7「内閣憲法調査会vs.憲法問題研究会」と、8「沖縄・韓国ヴェトナム戦争」を。興味深いのは「沖縄と日本国憲法」大田昌秀だ。1969年6月号に掲載という時期もさることながら、本土復帰をどう基礎付ける…

まだまだ「世界」憲法論文選

5「『人間らしい生存』と憲法」と 6「国家と民族への憲法のかかわり」の2章を読む。福田歓一の「現代における国家と民族」(1985年7月パリにおいて開かれた政治学世界会議のおける福田の報告、The State, the Nation and Ethnic Identity,- In a His…

「世界」憲法論文選の続き

3「天皇をめぐって」と、4「思想の自由vs価値の強制」を読む。この本の内容から離れるけれども、昨今の女帝論議をめぐって、割とリベラル(新聞的意味合いで)と目される人々が「男女同権の時勢を鑑みて...」という風に割りと女帝に好意的な論調が多いが、…

憲法論議をまとめて

「『世界』憲法論文選」を読み始める。南原繁まで。まだまだ先は長い。ただ一点指摘しておきたいのは、「押し付け憲法」と論難される憲法ではあるが、いわゆる「護憲」側の論者も、単に与えられたものとして憲法を見るのではなく、国民の側からの積極的な関…

難産

「核論」読了。著者自身が後書きでも触れているように、この本が生まれるまでの道のりは険しかったように思う。 目次にそくして考えてみるに、 1954年論 水爆映画としてのゴジラ 1957年論 ウラン爺の伝説 1965年論 鉄腕アトムとオッペンハイマー…

読了

「戦後思想の名著50」読了。 川村湊の「敗戦後論」(加藤典洋)、紹介に名を借りた批判がスリリング。 僕、どうしても加藤典洋の思考法になじめないんです。

戦後思想の名著

今日は、花森安治から金時鐘まで。 順々に読み進めてきたものの、やっぱり現物を読んだほうが 楽しいという身も蓋もな結論に達しそう。この本自体は、 明日で読了できると思う。 そういや、この本の中で、いわばペースメーカーとして扱われている 鶴見俊輔で…

電車の中で

なんとか二日酔いも収まってきたところで、仲正昌樹「松本清張の現実と虚構」 を。「なぜ『話』は通じないのか」(晶文社)でも舞台裏を披露していた、 「松本清張研究会」での発表をもとにしたもの。「わが栄誉」のような 大ネタこそないけど、普通にテクス…

二日酔い

「戦後思想の名著50」梅棹忠夫から新川明まで。 明らかに二日酔いで頭がガンガンするのに、ページをめくってしまう。 「育児の百科」松田道雄の項がいい。執筆者は天野正子。

(承前)戦後思想の名著50を読む

今日は森崎和江「第三の性」まで。 印象深いのは、上野英信「追われゆく坑夫たち」 廃棄される生っておもわずつぶやいてしまう。 あと、宮本常一「忘れられた日本人」 最近の再評価にちょっと違和感を感じていたので、この赤坂論文 に教えられることがあった…

古典になる、ということ

戦後思想の名著50を読み始める。分厚いが、なにせ50冊もの 「名著」を紹介するわけで、個別の論考は15ページ平均といったところ。 ここに、悩ましい問題が生じる訳で、論じられる対象が馴染みのものならば、 「そんなこと知ってるよ」となるし、未読で、「…