やっぱり大きな物語は、このへんで

『一九七二』読了。500ページ弱の大著にもかかわらず、当然1972年のすべてを汲みつくすことは出来ないということを思い知る。つまり、各エピソードが一つの「大きな物語」に収斂される時代の終わりを描いたこの本自体が、一つの旋律に沿って展開しないし、できないということ。ここで取りあげられていることは、それぞれ少しずつかかわりあってはいるけど、全体を統べることはしない。この本の書かれ方がすぐれて「1972」的なものへの批評となっている。