文藝

やっぱり上手いよフィッツジェラルド

読み始める。「残り火」と「氷の宮殿」の2編を読んで続きは明日へ持ち越し。

あればあったでなければないで

というわけで(もないが)文学部をめぐる病い―教養主義・ナチス・旧制高校 (ちくま文庫)読了。中野孝次に捧げられた(と受け取ってます)結語 それにしても、怨念なくして、どうして人は書くなどという行為をなしえるだろうか。 だが、怨念だけで、どうして…

中庸は無い

読了。この手の小説を読む方法は、極端にゆっくり読むか、スピードをつけて一気に読むかどちらかだと思う。僕?当然後者をチョイス。短編と短編のしきりが次第に溶解してきてあっぷあっぷ。多分正しい読み方はゆっくりなめるように読むことだと思う。

再読2件

1.『イッツ・オンリー・トーク』 上村祐子(書店員)の解説がアツい。『カンバセイション・ピース』といい書店員が解説を書くのが流行っているのかな。 2.『ぐるぐるまわるすべり台』 「完璧」多用が気になるけど(わざとだろ)、バンドが「はじまりつつある…

肝に銘じます

『文学部をめぐる病』読書進行中。メモ 加藤周一は、「支配階級の方を、それが軍人であろうと地主であろうと、彼らのために自ら苦しみながら、しかも彼らの方を向いて尾を振っている青年の卑屈さ」と言った。こうした体制への媚びは、それがそのものとしてあ…

現・人文書売り

で、しかも「文学部って窮屈だわー」とばかりに辞めちゃった僕の紋切り型っぷりをこれでもかとばかりに鏡に映されているようでツラい。ツラいと言いながらも、嬉々として読むわけで、ここら辺もまた文学部崩れの紋切り型:「マゾヒスティック」が遺憾なく発…

春樹をダシに

読了。村上春樹の小説で女性が欲望する主体としてあらわれると、途端に罰せられるというのは『海辺のカフカ』に限らず、「あれもこれも」いろいろ思い当たる。春樹におけるミソジニーを指摘し続けることは重要なんだけど、それをもって「従軍慰安婦問題」の…

もし澁澤龍彦が...

今ブログをやるとしたらこんな形になるんじゃないか、と思いながら読んだ 頻繁に更新するシブタツ。なんだか可愛らしいじゃない。

飲酒の友

読み始める。賞をどの時点での作品に与えるべきか/実際に与えられるかのギャップ。例えば吉村萬壱。『ハリガネムシ』は『クチュクチュバーン』よりも「いかにも文学」している点で必ずしも完成度が高くないけど(実際は『ハリガネムシ』が受賞)。この本が出…

いつのまにやら

『楽園への疾走』読了。気がつけばとんでもないことになっていた。楽園の書き割り感がすごい。アホウドリもう関係ないじゃん!

これからきっとひどいことが

第一部を読了。帯文より ごく普通の環境保護運動のはずだった。 だが、南の島でなにかが少しずつ狂い始める うん、少しずつというか第二部は狂い始めるだろうな、という第一部の締めくくり方だ。あと、「ごく普通の環境保護運動」これ若干看板に偽りありでは…

このひと正直だ

『なぜ悪人を殺してはいけないのか』読了。「田中克彦『チョムスキー』批判」、正直すぎていい。若かりし頃入れあげてしまったけどあれってトンデモじゃねえかっていう話。その頃は生成文法が味気なく思えたけど、今は...て言うことか。文学畑の人も最低限理…

飲酒の友

『なぜ悪人を殺してはいけないのか』の続き。リベラル派(とみなされる人々)が「女帝もあり」な風潮の中、「戦後転向論」のまっとうさは貴重かも。「忌まわしい古典『葉隠』」の『葉隠』批判も基本ですな。こうとしか読めないものはこうとしか読まないでい…

これはおすすめ

読了。『若草物語』、『家なき娘』、『小公女』、『赤毛のアン』、『あしながおじさん』を素材に、少女の境界性をめぐっての考察。これらの少女小説において、もちろん少女は近代家族に回収されてしまう。しまうんだけど、当然そこからズレていく小説の運動…

西哲ライターもどきが読む

読了。小説内に作者が顔を出そうが、小島信夫や藤枝静夫を読むようにこの作家の小説も読めばいい(と思う)←ちょっと弱気に。でも、『水晶内制度』や『金毘羅』は読んどいたほうがいいかも。美醜さえ超えてしまう老いに関する言及があるが、老いを深く掘り下…

飲酒の友

第一部を読了。異なる意見に耳を傾ける。

読了重なる

まとめて。 1.『わたしを離さないで』 ついにページを閉じてしまった。 2.『KKKベストセラーズ』 あっという間に読んでしまう。作家が書けないなか無理矢理書いたものをあっという間に読んでしまうのだ、読者は。 3.『ぜつぼう』 『腑抜け〜』の書割めい…

エディプス問題

『漱石の孫』読了。僕自身のエディプス問題を意識せざるを得ず(漱石とは真逆のエディプス)。ここでは仄めかしにとどめる。

何度目だ?

カール君がエレベーター・ボーイをクビになるところまで。角川文庫→池内訳単行本→uブックス(本書)と読んできている上に、ストローブ=ユイレの『アメリカ』も見ているから、筋は言うまでもなく。落語の鑑賞の要領で読み進めていく。

気になる

かなり意図的に読み終わるのを遅延させている『わたしを離さないで』今日は第二部を。はやく結末に至りたい。

飲酒の友

『漱石の孫』思ったより進む。

きばってないほうのテクスト

『三島由紀夫文学論集』読了。ものすごく無責任なことを言えば、きばってないテクストの方がいいですよやっぱり。小説家の休暇より サディストにとっては、真実の苦痛だけが必要である。ところがマゾヒストにとっても、拷問者の真実の憤怒だけが必要なのだ。…

ナゾー(黄金バット)

読み始める。第一部読了。帯にある「謎の全寮制施設」がどういう施設かようやく分かる。そこに至るまでの引っ張り方がいい。まだまだ謎だらけの上に、きっとどんでん返しがあるんでしょうな。続きを読みたいというはやる気持ちを抑えて続きは明日以降に持ち…

洋館出してもオーケーなのは

読了。19世紀英国小説から階級問題を抜いた感じできわめて読みやすく、面白い。というか、主人公と預けられる伯父の家には明らかに階級差があるんだけど、それが葛藤を生まないように書かれているので、恐らくそれが読みやすさに繋がってるのではないかと。…

ずーっと考えてきたわけです、この問題は

『親指P』読了。巻末の「親指ペニスとは何か」に、 最初に、たぶん昨日発売されたばかりで、みなさんも読んでない人がほとんどでしょうから、読まれる前にこういうことを言うのもなんですが、『親指Pの修業時代』よりも『ナチュラル・ウーマン』のほうが遥…

へなちょこシンクロニシティ

昨日読み終えた『親指Pの修業時代』上巻を、棚に戻すと(各文庫ごとに50音順で並べている)、その横には星野智幸『最後の吐息』が!いや偶然だろ、偶然。それはともかくとして、下巻も引き続き読んでいるんだけれど、いよいよ佳境に入っていってる。明日…

好き嫌いですよ、結局は(禁句)

読了。短いセンテンスの積み重ねは「ずるいなー」と思いつつ、やっぱり上手いわけで。ファンとしては言う事がありません、ハイ。読むだけです。

保坂節

『途方に暮れて、人生論』読了。「教養の力」と題されたエッセーより身につまされる引用 学生時代の話に戻ろう。 最も偏差値が高いと言われている学科の教室の雰囲気の知的でなさに失望して、私はすぐに映画制作のサークルに入り、そこで自分の同類と出会っ…

『文藝』前号の対談

上で触れた星野智幸との対談が面白かったので、新装版が出たのも何かの縁と、 を再読。上巻を読了。上巻に内藤千珠子の解説が収録されていて(この後まだ下巻が続くのに)ネタバレになってる。僕は一度読んでいるからいいけど、初めて読む人にとってはどうな…

父が既に父でない場合、その子どもたちは

『ファンタジスタ』を文庫で読み直したんだけど、そうすると今度は『在日ヲロシヤ人の悲劇』を読み直す必要を感じる。父が父であることに恥じ入り、父ならざるものとして振舞うとしても、そこには誠実さよりも欺瞞が嗅ぎ取られるわけだが、だからといって父…