マルクスの空想的...

ネオ共産主義論 (光文社新書)
読了。まず注意。この本は、現在に即応する「ネオ」共産主義の形を提示する本ではない。むしろ、マルクスによって「空想的」と言われた「空想的社会主義」とはどんなものだったかの記述が半分以上を占める。で、マルクスが彼らといかに切断されていたと考えていたかと、(にもかかわらず)やっぱり、空想的社会主義とは完全に切断されていたわけではなく連続性というものがあった、という確認。それと、マルクス自身が、空想的社会主義から切断されているとする根拠としての「経済分析」も、ストレートには適用できないという確認。この二つを認めてしまうと、ほぼ敗北なんだけど、これを認めないと、やっぱり共産主義墨守しようとしてもロクな結果にならないことを著者は知りすぎている。知りすぎているんだけど、共産主義っていうツールを放棄したくはない(僕もね)っていうところで考えあぐねる、という難しさを改めてかみしめる。未来社会の提示については当然禁欲しているので、「なにがネオだよ」って思うかもしれないけど、それでも...っていうところにこだわっていきたいっす。(それがどう出るかは分からないけど)