愛している割に

昨日思いっきり『日日雑録』って誤記してるし。(穴があったら入りたい)。『目白雑録2』読了です。石川淳にむかって『焼跡のマリア』を学生時代に読んでショックを受けたと言うくらい恥ずかしい。金井先生が、

顔色一つ変えず、ウン、ウンと言ってお酒をのんでい

てくれることを願うのみ。いろいろ引用しようと思ったけど、困ったことにどこを読んでも面白いので読んでくださいと言うしかないですが、島課長にツッコミをいれつつ、小説における「私」問題がきっちりと考えられてあって、その二つを同時に行う文章の密度の高さったらありませんよ。全編を通じての傍点の振り方の適切さなどもぜひ味わっていただきたいところです。


余談だけど『ユリイカ』の文芸賞特集、まるで島課長の接待のように見えますね。

その他今日読んだ本(横着)

1.『パリ感覚』
別に検閲官ではないのだけれど、こういう書き方にはツッコミを入れたくなる。

実に不思議なことには(原文には傍点)、ほぼ確実に女の店員に限って無知かつ無恥に拒否し、男の店員が横から「それはすばらしいカードなのだ」と口を出すと、女は「あたしはついぞ見たことも聞いたこともない」と抗弁してふくれるというのが、ひとつのパターンになっている。思うに、ウーマン・リブが正しく広まっていないからであろうか、これはかなりの厭味のつもりだが、女は、自分の知っている狭い世界に閉じ籠って、それ以上の事をまったく見ようとも知ろうともしない、という結論を引き出さざるを得ないのである。

引き出しすぎ。
2.『大航海』特集:ラカン
読了。なんだけど今ひとつ物足りないのは注がつかないからか。(これは今さら言っても仕方ない気がするが)。ラカンは、岩波から刊行中の『セミネール』を読んだり読まなかったりする程度だけど、「すべてではない」はいいよね。
3.『原因と理由の迷宮』
読み始める。めっぽう面白いけど果たして終わりまでついていけるか。(それが問題だ)。
4.『ベルクソン読本』
ベルクソンプロティノス」内藤純郎と、「ベルクソンと十六世紀キリスト教神秘主義」中村弓子。後者を読んでいると、ふいに鶴岡賀雄さんの遠くを見つめる顔が浮かんできてしまった。

もらい物

『春秋』そして光文社の『本が好き!』。『本が好き!』は創刊号なのでお手並み拝見といったところだが、なんというか単行本化の草刈場って気がするのだ。それはともかく、それなりに面白そうではあるのでポツポツ読んでいこう。表3に掲載されている広告が『神聖喜劇』全5巻なのを見るとちょっと嬉しい。『書店さんのお勧め本』という見開きのページにはいかにもこの場にふさわしい本が載ってるよ。

今日買わ(え)なかった本

1.『知識人の誕生』(藤原書店)クリストフ・シャルル 白鳥義彦訳
こういう本を気軽に買えるくらいの小金持ちになりたい。
2.『黄金伝説2』(平凡社ライブラリーヤコブス・デ・ウォラギネ
で2が出るわけだ。平凡社ライブラリーは帯ウラに来月の刊行予定が載っていて、それによると矢川澄子さんの『父の娘たち』が出るようだ。ハイ、再読決定。
3.文春の新刊とか講談社学術&文芸文庫
そもそもまだ入荷していないし。
4.『ザレゴトディクショナル』(講談社ノベルス西尾維新
あまりにも売れてるものだからどんなものかと読んでみた西尾維新の小説。気がつけばいつの間にか全作読んでいる。読むごとに「置いてけぼりを食った」感じにとらわれる。積極的に嫌いかというとそうでもないのだが、これにどうのめりこめるのかがよく分からん。よく分からないままに定点観測を続けていってはいるものの、もはや何のための定点観測かもよく分からない。「もしかしたら次の作品で僕も西尾維新の魅力が分かるのかも」とか思いつつ、やっぱりよく分からん。スラスラ読めるけど、スラスラ読めてだからどうだと言われれば、「ま、いいんじゃないの」と言うしかない。分量1/10で良くないかとか思わないでもないし。で、この『ザレゴトディクショナル』もやっぱり買ってしまうんだろうか。

今日購入した本

1.『フーコー・コレクション2 文学・侵犯』(ちくま学芸文庫ミシェル・フーコー 小林康夫石田英敬松浦寿輝
なにも言わず購入。
2.『てつがくを着て、まちを歩こう』(ちくま学芸文庫鷲田清一
これ学芸文庫じゃなくただのちくま文庫で出したほうがいいような。
3.『砂漠の惑星』(ハヤカワ文庫)スタニスワフ・レム 飯田規和
読んでなかったから。