まだ読み始め

反戦のメディア史』:『ビルマの竪琴』がリメイクされたのが80年代であって、そこにおいても一回目の映画化の際に指摘されていた「このビルマって想像上の投影では?」という疑問が若干の変奏を伴って回帰している。原作および初回の映画化では日本/ビルマという対立だったのに、二回目では日本・ビルマ/西洋となる。もちろん西洋は「物質的なあり方」ってわけでビルマを前景にして精神の優位が語られる(しかもそれはビルマを踏み台にして結局は「日本」の精神の優位である)。でもちろん物質という面で見ても日本が西洋を圧倒しつつある、とみなせる。この西洋を二重の乗り越えつつあるという自己認知が80年代(もう『ビルマの竪琴』なんて疎遠な時代)にリメイクされるに当たって(同じく80年代にリメイクされた)『二十四の瞳』よりもヒットした理由として挙げられている。なるほどね。『わだつみ』分析の途中でとりあえず今日の読書は終わり。(しかし、一回目の『二十四の瞳』映画化が、戦争に関して自閉的な見方を強化しているという論点は、受容の面=これが本書の分析の中心、からは納得できるものの、あくまで映画(という運動)そのものの分析となると、ちょっと点が辛くなるかもね)。
「反戦」のメディア史―戦後日本における世論と輿論の拮抗 (SEKAISHISO SEMINAR)