千円札

『芸術原論』続き。書かれた時期からトマソン路上観察が中心になっている。ネオダダ、千円札からそちらに至ったかがよく分かるように書かれていて胸に迫るものがある。
余談:こんなトマソン物件

しかし、と思うのである。それにしてはどうも納得がいかない工事である。丸いパイプだから肘を乗せにくいのではないか。それに肘掛けと肘掛けの間が、一人用としては広すぎるし、二人用としては狭すぎる。まさかトマソンではないだろうか。
宿に帰ってからその物件を報告すると、ほかの人も別の公園に寄ったとき見かけたという。その人も肘掛けだと思ったが、それにしてはどうも腑に落ちないという私と同じ感想をもっていた。そのうちに情報を知っているのが一人帰ってきて、あ、それは浮浪者よけだよ、と言う。
しばらく何かわからなかった。そしてしばらくしてからやっとわかった。
それはベンチに人が横になれないようにしている装置なのだ。ベンチに人を寝かさないための装置なのだ。

1987年の過防備都市。
芸術原論 (岩波現代文庫)過防備都市 (中公新書ラクレ)