79年は終章で

『同時代も歴史である 一九七九年問題』読了。こんな風に読まれるのであらば、読まれたテクストとその書き手(死者含む)も満足だろうという読み方。と同時にそうした読み方を続けていくと、さしあたっての終章で開けてしまった2006年の今と地続きの世界の読解には、膨大な労力が必要であろうということもよく分かる。これ以降をライフワークにして欲しいなという思いがあるが、それって大変だろうな。
このすぐ後の時代をめぐっては、ちょっと刊行が遅れている(5月31日発売だそうだ)こんな本に期待している。

バブル文化論 <ポスト戦後>としての一九八〇年代
原 宏之 著
大塚英志東浩紀オタク文化論、北田暁大森川嘉一郎の都市論など先行研究を土台として、いまだ全貌が見えにくく評価の分かれている80年代文化を総括する。
▼政治・経済の歴史的な動きを縦軸に、東京という都市空間を横軸にして、表象・メディア分析を使いながら「バブル文化」(ストリート文化や大衆文化)を鮮やかに読み解く。
▼「80年代」は、ニューアカなどの「知のモード」の分析だけでは語れない。当時の紙面をにぎわせた暴走族・校内暴力や、「とんねるず主義」、バラエティ深夜番組、お笑いブームといった「バブル文化」のうちに、この時代の混沌のエネルギーを探る。
▼著者は、表象メディア論の気鋭。『テレビのエコーグラフィー』(ジャック・デリダ/ベナール・スティグレール著、NTT出版)の翻訳者でもあります。


http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/4766412869