デカルト入門裏口から

デカルト入門 (ちくま新書)読了。ちょっと裏口っぽい切り口

また、デカルトは、「高邁」が自己に対する尊重の情念をひきおこすとするだけでなく、われわれは他者に対して「尊重」の念をもつと考える。それは、われわれが他者を自由原因とみなす場合、すなわち「われわれに善も悪もなしうると判断し、しかもそのいずれをなすかは分からないような自由原因」とみなす場合である。たとえばわれわれは自動機械に対して「尊敬」の念をもったりしないが、「われわれを欺く」こともできる「自由原因」に対して「驚き」の念と「懸念」をまじえた「尊敬」の念をもつのである(この反対は「軽蔑」の念である)。

これで他我問題が解決できるとは思わないまでも、「デカルトのコギトに他者がいない」とは安易に言えなくはなる。


コギトと狂気をめぐるフーコー×デリダの論争は正直手に余るんだが、
「分裂病」の消滅―精神病理学を超えて
がいい補助線になるかも。


最近出た入門書2点
セネカ (Century Books―人と思想)ホッブズ (Century Books―人と思想)