柴田尽くし

『バレンタイン』および『翻訳教室』を読む。『翻訳教室』に軽く打ちのめされる。英語を日本語に翻訳するに当たっていかに日本語の能力が要求されるかが、これでもか!というくらいの豊富な事例でもって迫ってくる。そして、僕がいかにテキトーに日本語を使っているかに気づく。あーあ母語に、「ね、わかるでしょ」に安住しすぎだな。ブローティガンって翻訳でしか読んだことがなかったけど(それを言うとほとんどの小説を翻訳でしか読んでないのだが)、短いながらも原文を読んでみると(当たり前だが)やっぱりイイのであった。『バレンタイン』の中から好みを挙げれば、冒頭の「バレンタイン」のサンデー奪い合いが素敵。
短篇集 バレンタイン翻訳教室