思えばこれも『バブル文化論』なのであった。

『芸術原論』読了。こんな記述

少なくともトマソンを作り出す物理状況としては、豊かで、治安の心配もなく、しかもなお街が発展変化しているようなところというと、やはり、この日本ならではのことになりそうである。この地球上で経済成長の上位にいる、その日本の上澄みにこそあらわれた、はからずもいちばん贅沢な学問表現であるらしい。

そして日付(初出:『へるめす』第14号、1988年3月)。特に日付は記憶しておいた方がいい。まだ「バブル」も「ソ連」も崩壊していず「昭和」の終わりの直前という(後出しジャンケン的に言うなら)絶妙な時期におけるこの書き方。1980年代後半の『幸せ』の一つの傍証だなあ、と昨日『バブル文化論』を読んだばかりなので、つい思ってしまう。