パーソンズをダシにアメリカを考える

ポスト・モダンか後期近代か?僕自身答えを出す自信がないわけで、そんななかじゃあ近代ど真ん中の本を読もうとばかりに『近代性論再考 パーソンズ理論の射程』(世界思想社)進藤雄三 を紐解く。パーソンズ、今さら?かも知れないが、かつてパーソンズが万能の切れ味を誇ったのは、近代を包括的に説明できたからで、そのどこにも当てはめることが出来るという側面には、アメリカが生んだモデルである、ということが理論に信憑を与えていた。理論の構成が古くなったといえば確かにその通りではあるのだが、多文化主義フェミニズム(etcの差異の政治)の攻勢を受けつつも、気がつけば2006年の今もアメリカ的なるものが世界を覆っているわけで、一地域があたかも普遍の源泉であるかのようにみなされることはいまだに続いており、理論の生産がいかにしてなされるかを考える時に、パーソンズを読み直すことはまだまだ有益だと思われる。
近代性論再考―パーソンズ理論の射程 (SEKAISHISO SEMINAR)