今日読んだ本

1.読み始めた本
(1)『文化とは何か』
「『アフター・セオリー』じゃん」と思わないではないが、広く取られたり、狭すぎたりする『文化』概念の錯綜した諸相を抉る、ってか。小文字の文化もまた暗黙裡に普遍を前提にしている、との批判は(繰り返され、耳の痛い話でもあるが)甘んじて受けなければなあ、と。ポストモダンにたいする「さすがにそれは言いがかりだろ!」的側面を注視しつつ。
(2)『チェーホフ・ユモレスカ』
ついさっきまで読んでいた。掌編こそ玩味しなきゃいけないのに、けっこうかっ飛ばして読んでしまう。よくない傾向だぞ。
(3)『村上春樹イエローページ1』
初期3部作まで読もうとしたが、なぜかピンボールで打ち止め。

十年たったが、いまも村上論のスタンダードは、この本ではないのかな、というのが筆者たちの感想である。

自負しすぎ!と思うも、では「村上論のスタンダード」が何かと問われればうまく答えられない。
2.継続中
(1)『トルーマン・カポーティ
ヤマ場『冷血』ですよ。その意見に従うかどうかは別にして、ノーマン・メイラーのトサカにきっぷりって、もはや一つの芸の域に達しているわ。
(2)『戦後世相の経験史』
「ファンタジー化する原水爆そして原子力イメージ」好井裕明

たとえば『昭和歌謡大全集』は、ヒロシマと原爆表象・言説、さらにはヒロシマと現代(いま)が切り離されつつある端的な例証といえよう。

非常に細かいことを言えば、ここで「ヒロシマ」と書かずに、代わりに「ナガサキ」と書いていれば、より辛辣になっていたのではないか。完全に修辞の話だけども。ちなみにこの『昭和歌謡大全集』は映画の方っす。
(3)『人生を歩け!』
三崎編、そして金言

町田:自分自身の設定したプリンシプルが崩壊していくのを許容している自分。それを感じることの楽しさ

思わず肯いてしまうが、これって町蔵の小説そのものですよね。
(4)『夜をゆく飛行機』
家族小説で起こることはすべて起こり、それを通じて家族が(成長してなさそうで)成長していく...フツーの小説じゃんか。って、フツーの小説を書くのがいかに難しいかってこってすよ。
(5)『事実/価値の二分法の崩壊』
昨日残しておいた「科学哲学者たちの価値からの逃避」を読む。分かり易過ぎると逆に不安。
文化とは何か (松柏社叢書―言語科学の冒険)チェーホフ・ユモレスカ村上春樹 イエローページ〈1〉 (幻冬舎文庫)夜をゆく飛行機