人文書院から

『たわいなさの考古学 コンディヤックの天才論(仮)』ジャック・デリダ 飯野和夫訳が6月上旬出版予定。

『グラマトロジーについて』でのルソー『言語起源論』につづき、18世紀フランス哲学の雄コンディヤックを論じたデリダ初期の論文。当初、コンディヤック全集版『人間知識起源論』への序論として刊行された。コンディヤックは人間の精神活動の根本にある関心をルソーと共有しながら、異なるアプローチで論じた。コンディヤックによれば、人間の知的能力が生み出す「観念の新しい連関」こそ、新しい学問の発見だという。デリダは、「天才」がなすその過程に、ときとして「たわいなさ」として現れる記号のずれや逸脱を認め、『グラマトロジー』で提示した自らの諸概念を発展させていく。
デリダの初期代表作であるルソー論『グラマトロジーについて』と対をなす「双子の書物」と位置づけることができる。

刊行が遅れないのを願うばかり。