掟の門の前での逡巡

青土社現代思想ガイドブック「ジル・ドゥルーズ」(クレア・コールブルック)
を読む。ドゥルーズ、主要な著書はほぼ全部読んでいるのに、入門書が出ると
なぜか買ってしまう。永久に「哲学入門一歩前」状態です。果たして一歩前に
進めるか。この本自体は、良くも悪くもドゥルーズに感染した感のある文体で、
このシリーズの他の本に比べて異色。いいんだか悪いんだか。
訳者の国分功一郎氏の後書きがナイス。ジジェクの「身体なき器官」(読み進めるのに
骨が折れたけど、読んで後悔なし)が、D&Gの仕事をバッサリ切って捨てているのにふれて

ジジェクは)ドゥルーズガタリと書いた『アンチ・オイディプス』こそは
ドゥルーズの著作の中で最悪のものであることは論を俟たないと述べている。
この挑発にドゥルーズの読者から有益な反論がなされていないことは非常に
残念である。ドゥルーズ=ガタリの仕事は、ドゥルーズの仕事と全く異なる
スタイルで書かれている以上、両者を混同することは、要するにきちんと、
テクストを読んでいないことの証拠であり、その意味で、ジジェクの指摘には
全面的に賛成できる。その上で、訳者は、『アンチ。オイディプス』こそは、
ドゥルーズの最高の仕事であるといいたい。そして、ジジェクの挑発」に敢えて
乗るなら、次のように言いたい。ドゥルーズの仕事がドゥルーズ=ガタリの仕事
と混同されていることは、両者がきちんと読まれていないことの証拠だから
大変嘆かわしい。そして、もしも、どの著作がドゥルーズの著作の中で最悪か
などと問うのであれば、『哲学とは何か』がそれであることは論を俟たない。

次書くことに期待しちゃうじゃないか。