今日読んだ本

1.『神聖喜劇』第三巻
まず安芸の女のくだりをどう漫画化するのか興味を持って読んだ。(ここは漫画化しにくいだろう、と思って読んでいったのだ)。ちゃんと漫画になってるじゃないの。それと、村上少尉がさんざん「殺して分捕る」が目的ではないことを力説したあとの、鉢田、橋本の応答をめぐる場面の処理がいい。
2.『初恋温泉』
温泉を縛りにした短編集。既視感を丸ごと受け入れるならばこれだけ安心して読める作家も珍しい。その中でも、「不意の他者との出会い」を台無しにしてしまう保険の外交員の話である『風来温泉』がよい裏切りを含んでいる。うまいね。(なにゆえ職分に忠実になってしまうのかや、もはやなんのための「稼ぐ」かがとんとわからなくなってしまっているのに、それでもやめられないのはなぜか?という寂しい現状。)
3.『輝く日の宮』
一瞬源氏を読みなおそうかと思うも、即座に「ムリ、ムリ」という現実的な声がどこからか。
4.『マルティン・ハイデガー
昨日の続き。これは思いつきのままなのですが、ハイデガーは確かにナチズムに失望してナチズム批判に転じたのかもしれないけど、このナチズム批判は場合によってはナチズムよりずっとタチが悪いのでは?(=ハイデガーナチスの関わりを問題にするよりも、ナチスから己を切断しようとする試みのたどる道行きの問題。こっちのほうがより厄介ではないか、と。)
5.『どこにもない国』
「どこへいくの、どこ行ってたの?」ジョイス・キャロル・オーツ
無茶苦茶怖い。
6.『思想の科学五十年』
読了。こぼれ話に興味は尽きず。